2005/08
 全道の印刷業とその関連業者が集まって、親睦を深めると同時に業界を取り巻く情勢について意見交換する「北海道情報・印刷文化典旭川大会」が26日から28日まで、旭川パレスホテル(7条6丁目)を主会場に繰り広げられる。テーマは「印刷がつくる いい顔  いい出会い」。単なる業界内の集会ではなく、「自費出版塾」、「おもしろ印刷塾」など、市民が自由に参加できるコーナーを設け、印刷文化に触れ、親しんでもらうイベントだ。また、人気落語家、御家小三治師匠一門を招き、記念講演ならぬ「記念高座」も開かれる。大会実行委員長の則末尚大さん(64、北海道印刷工業組合旭川支部長)に大会に向けての抱負などを聞いた。

旭川での開催は久しぶりだそうですね

 大会は1950年(明和25年)から始まっています。当初は、道内各都市持ち回りで毎年開催だったのですが、途中から3年に1度になり、旭川開催は18年ぶりです。前回の釧路大会では約400人が参加し、今回は約500人の参加を見込んでいます。今は会社として仕事を確保するだけでも大変な時期です。でも、業界の人たちが集まり、話し合うことで、自分の会社の経営について考えるヒントにしたり、最新の印刷技術の動向を知ったりすることは重要なことだと思っています。それに、役所などに対する要望についても、業界がまとまっていることが大切だと考えて活動を続けています。

ワープロ、パソコン、複写機などが普及して、印刷会社の仕事も減っているのではありませんか

 確かにそうした影響は確あります。事実、印刷会社の数も減少してきていますし、旭川でも組合に参加する会社が減っているんです。でも、私はマイナス面ばかりでなく、プラス面に目を向けていきたいと考えています。ワープロ、パソコン、複写機などの普及で多くの市民の方が印刷に親しんでいる、という考え方です。例えば自分史というのは、以前は功なり名を遂げた人が出版するものでした。しかし、今は農家の人、サラリーマン生活を終えた方、個人商店を経営してきた人など、普通の人が自分の半生を振り返って一冊の本にできる時代です。その中で、写真を使ったり、本としての装丁を整えるのは私たちの仕事でしょう。それに今後、私たちの仕事の分野として増えるのが情報のデータ処理です。印刷というと昔は紙に刷るものと相場が決まっていましたが、今では水にさえ印刷ができる時代です。同時に情報データの処理が大変重要になっています。例えば、市の情報を市民に提供するために、今は広報誌を使っていますが、これを有効に活用するにはデータベース化しなければなりません。こうした仕事が最近かなり増えています。

大会の名称が情報・印刷文化典というのもそうした背景があるんですね

 そうです。大会に「情報」の文字を使うのは、今回が初めてのことです。自分たちの仕事は印刷にとどまっていない、情報産業の一員なんだ、ということを内外の人たちに向けて発信するためです。

今回の大会は市民向けのイベントが多いですね

印刷か市民に広がっていることを意識しました。先ほども言ったように、印刷業と市民の間の垣根はどんどん低くなっています。だからこそ市民と一緒に印刷の歴史やこれからのことを考えたいと思うんです。
 市民との交流の場として、27日、パレスホテルで「自費出版塾」、「おもしろ印刷塾」、「デザイン塾」、「写真塾」の4つを行います。「自費出版塾」では、一冊の本ができ上がるまでのお話を聞いていただくほか、全国で自費出版された作品を展示します。相談コーナーも設けるので、気軽に声をかけてください。「おもしろ印刷塾」は昔懐かしい植字を使った活版印刷と最新技術との対比、シ一ルクスクリーン印刷などを体験してもらいます。「デザイン塾」ではプロのデザイナーと一緒にパソコンを使ってイラストを制作をしたり、画像処理をしてもらいます。「写真塾」ではプロのカメラマンのコマーシャル写真の撮影現場を見学してもらい、個人指導も受け付けます。
 このほか、会場では全国カレンダー優秀作品展、全国カタログ・ポスター優秀作品展などもあります。また、人気落語家の柳家小産治師匠とその一門の記念講演もあります。ぜひ会場に足を運んでみてください。